有限会社岩瀬建築における研修

平成26年2月10日

 千葉県成田市の岩瀬建築猿川工場にて岩瀬社長はじめ技術者、職人の方々と顔合わせ。今後の研修先となる3箇所の文化財建造物修復現場について説明を受ける。

 その後、岩瀬社長から日本の木造住宅、木造社寺建築についての講義。Vu氏は日本の木造建築の仕事を行っていたこともあり、木造建築の各部材名等について多少の知識を有していた。講義後は岩瀬建築の工場を見学し、大工仕事や大工道具についての説明を受けた。

岩瀬建築岩瀬社長による講義
岩瀬建築猿川工場にて

平成26年2月11日〜12日

 千葉県銚子市常灯寺本堂(千葉県指定文化財)の部材調査研修。常灯寺は寛文13年(1673年)に行基により建立された、千葉県内では江戸時代前期の密教系仏堂の代表例と言われている。岩瀬建築では5カ年計画で本堂の全解体保存修理工事を進めており、現在は解体後の部材調査及び各部材のつくろいを行っている。研修では部材の実測調査・野帳の作成を行った。Vu氏にとっては初めての尺寸による採寸となり最初のうちは慣れない様子であったが、徐々に感覚を掴んでいった。ベトナムと日本の寺院建築での大きな違いのひとつは枡組のバリエーションの豊かさであり、Vu氏も日本の枡組に大きな関心を示していた。

平成26年2月13日〜15日

 茨城県ひたちなか市旧会澤家住宅(国営ひたち海浜公園内)部材調査研修。旧会澤家は東日本大震災により被害を受け、一時は取り壊しの危機にさらされたが、保存を求める声が高まったことで国営ひたち海浜公園内に移築し保存する事が決まった建物である。建築年代は江戸時代中〜後期とみられている

 Vu氏の研修は解体され公園内に保管されている部材の野帳作成であり、岩瀬建築御担当者からさしがねの使い方や痕跡から推測する軸組の形状等について学びながら図面の作成を行った。Vu氏はさしがねの丸目や角目といった部材の割り付け上または現場での施工上便利なよう工夫の凝らされた目盛りについて説明を受けると、紙に計算しながら必死に理解しようとする姿が印象的であった。

 Vu氏によると日本とベトナムの民家建築における最も大きな違いは部材の太さであり、日本のような太い部材をふんだんに住宅に用いる例はベトナム・ダナンではほぼ見られないとのことであった。

 実測方法について説明を受けるVu氏
部材の実測に取り組む

平成26年2月17日〜19日

 福島県いわき市大國魂神社本殿(いわき市指定文化財)にて実測調査研修。大國魂神社の創建は養老3年(718年)以前に遡り、いわき市では最古の神社であり恵比寿・大黒様のお宮として県内外から多数の氏子崇敬者が訪れる。全解体修理工事の最中である本物件では解体の手法を学び、解体中でなければ目にする事の出来ない建物の構造を図面作成を通して捉えることを主な研修とした。

 研修は建物についての棟梁の説明に始まり、解体時の部材の年代特定方法の講義や解体中の現場写真の撮影方法について伺った後、平面図・断面詳細図の作成を行った。工事としては野地板はがしを終えたところで、垂木やその他軸組の部材が複雑に絡み合う姿を見学することが出来た。

大國魂神社にて
Vu氏が作成した図面

平成26年2月21日〜24日

 茨城県ひたちなか市旧会澤家住宅(国営ひたち海浜公園内)部材調査研修。前回に引き続き旧相澤家住宅の部材実測調査を行った。後半は練習として痕跡から推測しての軸組図作成に取り組み、前半で作成した部材の野帳を基に建物の全体像を捉える作業にVu氏もいつになく真剣な表情で取り組んでいた。